1 つまずきポイント

    文章問題のイメージが持てないため、立式を間違える。

    分かっていることと分かっていないことが整理できない。

    関係の式に当てはめて計算する際に、計算を間違える。

    説明する問題で説明の仕方が分からない。

    5年生の既習である台形、平行四辺形、三角形の面積の求め方が理解できていない。

 

2 攻略ポイント

    「何のお話ですか?」と問うことで、問題のイメージを持たせる。

    数字に○を付ける、分かっていないことに線を引く。

    計算はノートにしっかりと書かせる。

    説明のまつだくんを使い、まねをさせる。

    口で考え方を簡単に言わせた上で、説明する文を書かせる。

 

 

    「何のお話ですか?」と問うことで、問題のイメージを持たせる。

文章問題が苦手な子は、文字を読んだだけでは、そのお話のイメージが持てない場合が多い。そのためにあるのが挿絵である。挿絵を見せながら、「これは何のお話ですか?」と問うことで、この問題のイメージをつかませることができる。また、例題を扱う際には、必ず言葉の式もセットで書かせるようにする。数字だけではイメージできないことも、言葉とセットになることで、イメージがしやすくなる。

例)  鉛筆1本の値段×本数+消しゴムの値段=代金

        X  × 6+ 70    =Y

 

    数字に○を付ける、分かっていないことに線を引く。

文字と式の場合、文章を読み、分かっていることと分かっていないことを整理できるかが大切である。

そのため、文章の中で分かっている数字に○を付ける。次に、分かっていないこと、つまりXとYにも線を引かせる。これにより、情報がより整理されて見えてくる。

 

    関係の式に当てはめて計算する際に、計算を間違える。

この単元での間違いで多いのが計算間違いである。数字をあてはめた後、暗算で無理に解こうとしたり、補助計算を小さく書いたりする子ほど間違いが多くなる。そのため、補助計算を書く際には、必ずノートに大きく書くようにさせる。計算できると思っている子ほど、いい加減にやって間違えることが多い。また、ノートは余白をたっぷりとらせて書かせるようにしておくことで、どこで間違えているのかを見直す際にも、分かりやすい。テストをさせる際も、計算できるスペースがない子は、ノートに計算を書いて良いとすることで、間違いは減る。

 

    説明のまつだくんを使い、まねをさせる。

テスト自体には、説明させる問題は出てこない。しかし、先日行われた学力テストのB問題を見ても、説明させる問題は必ず出てくる。また、この説明をする際に、口頭での説明ではなく、文章での説明が重要になってくる。そこで、文章での説明のさせ方を教える。その際に、活用したのが

『まつだくん』である。

ま・・・まず

つ・・・次に

だ・・・だから

この3つの言葉を説明に加えるだけで、説明がスムーズにできるようになる。子どもたちも『まつだくん』と親しみを込めて覚えていた。すぐに説明ができるようになるわけではないので、まずは教師の書いたお手本を写す作業をさせる。次のステップとして、少しだけヒントを黒板に板書し、自分で書かせる。最後に、ヒントは与えず、自分で説明する文を書かせ、教師がノートをチェックするという流れで行った。最初は、説明する文を書けずに苦労している子も、ステップを踏むことでできるようになっていく。また、その際、早く書き終えた子に、板書をさせることで、まだの子どもたちのヒントにもなる。

 

 

    口で考え方を簡単に言わせた上で、説明する文を書かせる。

台形、平行四辺形、三角形の面積の公式だけ覚えている子にとっては苦しい問題がある。『面積を出す考え方』この部分を5年生の頃にどれだけ理解していたかによって、どうしても差が出てしまう。そこで、次のようにステップを踏む。

【1】  面積の考え方を近くの人に口頭で言う。

【2】  全体で考え方を発表し、簡単に共通理解する。

【3】  理解したことを算数作文として書く。

まずは考え方の図を提示した上で、

「隣近所の人に、簡単に説明してごらん。」と言って、口頭で簡単に説明をさせる。

その上で、「隣の人の説明が分かりやすかった人?」と聞き、手が挙がった子の隣の人に説明をしてもらう。ここで、共通理解をする。

 最後に、その大まかに理解したことをもとに、説明する文『算数作文』を書かせる。このようなステップを踏むことで、口頭で言わせるという簡単な作業から、最終的にそれらを文章で表すという難しいところまで到達させていく。ポイントは、最初に口頭で簡単に言わせることで、いきなり全て説明させないということが難易度を下げることになる。

 

3 授業の考察

 全体としては定着できている。単元を通して、文章問題が苦手な子にどれだけ、文章問題のイメージを持たせるかがポイントであった。個別指導の際には、半具体物などを用いて、

「10円のクッキーが2枚分あるとしたら、いくら?」(20円)

「何算で出せる?」(かけ算)

「何×何?」(10×2)

「じゃあX円のクッキーが2枚分あるとしたら、式はどうなる?」(10×2)

 などのやり取りをして、スモールステップで簡単なお話からイメージさせる時間がどうしても必要であった。しかし、テストで少し文章が違うだけで、お話のイメージが持てず立式を間違える子はどうしてもいた。このあたりは、時間をかけながら、今後も指導していく必要がある。

 また、テストの際に、計算間違いが何名かいた。その多くが暗算や隅の方に小さく計算している子であった。このあたりの徹底がまだまだ甘い。補助計算を大きく書かせる良さを子どもたちに実感させていく必要がある。

 

 説明させる問題については、この単元で説明の仕方の基礎を学ぶという意味で、とても効果的だった。しかし、説明する内容が理解できていなければ、説明もできない。まずは、理解をしっかりした上で、このような発展的な説明させる活動を話し言葉でも書き言葉でも多く取り入れていく必要を感じている。