◆啓林館『折れ線グラフ』
1 つまずきポイント
① グラフの基本的な読み方(縦軸・横軸など)が分からない。
② グラフの傾きの違いが分からない。
③ 点をうたずに折れ線グラフを書こうとする。
④ 目盛りを読み間違える。
⑤ 折れ線グラフで表すと良いものが分からない。
2 攻略ポイント
① グラフの読み方は、一時一事で問う。
折れ線グラフは比較的簡単な単元である。子どもたちの多くが、特別指導をしなくても、ある程度グラフの読み方をつかむことができる。しかし、中には縦軸や横軸が何を表すのか?単位は何なのか?これらのことを理解することを苦手とする子がいる。だからこそ、グラフの読み取りの際には、同じパターンでグラフの読み取り方を教える必要がある。
① タイトル(表題) ② 出典 ③ 年度 ④ 縦軸 ⑤ 横軸 ⑥ グラフの傾向をつかむ |
これらを一時一事でテンポよく聞いていく。「タイトルは何ですか?」「出典は何ですか?」このような基本的なことを繰り返しグラフの読み取りの際に確認することが、基本となる。これは、社会科の資料を読み取る際にも活きてくるスキルである。
② 作業をさせて傾きを実感させる。
グラフの傾きによって、グラフの傾向をつかむのが折れ線グラフの特徴である。しかし、この『傾き』というのがあまりピンとこない子がいる。そのような子には、傾いている線を指でなぞらせたり、鉛筆でなぞらせたりする。これによりイメージできる子がいる。また、手を使って「だんだん上がる」「だんだん下がる」「変わらない」を体で表現させると楽しく傾きを実感できる。
③ 教科書チェック・ノートチェックで点を打つ習慣をつける。
折れ線グラフを書かせる際、子どもたちの多くが何も言わなくても簡単にできる。簡単だからこそ、足元をすくわれるのが、『点を打たずに線を引く』子が出てくることだ。この辺りは、確実にノートチェックや教科書チェックをする中で、徹底させるべきだ。そうしないと、グラフの書き間違えがものすごく増えていく。点を確実にうち、丁寧に定規で線を引く。このことを繰り返し、意識させたい。
④ 1目盛りの基準を何度もおさえる。
グラフを読み取る時・グラフを書く時の大半の間違いが、目盛りの読み間違いだ。読み間違いをしないポイントは2つある。1つ目は、しっかり1目盛りずつ数えるということだ。授業の中でも、次のように指示を出す。
「0度に指を置きます。」(隣同士確認)
「数えます。1度、2度、3度・・・・24度。」
「24度に点を打ちます。」
このように1度ずつ数えさせる。慣れてくれば、5とびや10とびで、手間をはぶく方法もあるが、最初は確実に数えるやり方をしっかりとさせると良い。
2つ目は、1目盛りあたりいくつを表すかを確認することだ。1目盛りが1度をいつも表す問題ばかりではない。だからこそ、「1目盛りは何度を表しますか?」(1度です。)といったように、1目盛りあたりの単位を確認することが大切である。
⑤ 棒グラフと折れ線グラフの違いを教える。
予想以上に間違えるのが、折れ線グラフをどんな時に使えば良いかを答える問題だ。第一時で必ず押さえたいのが棒グラフと折れ線グラフの違いである。
棒グラフ→数の大小が分かりやすい。 折れ線グラフ→数の変化が分かりやすい。 |
このことを確認した上で、『折れ線グラフは何を表すのか?』→(変化)と子どもが合言葉のように言うくらいに繰り返し聞いた方が良い。また、練習問題などでも、変化を表すものなのか、数の大小に注目するものか分類させる問題がある。
Q 折れ線グラフに表すとよいものはどれか?
あ ひなたさんの小学校の学年ごとの子どもの数
い 午前11時の学校のいろいろな場所の気温
う 水を温めている時の水の温度の変わり方
この際も『変化』というキーワードが入っていれば、『う』を選ぶことは簡単だと思われる。
3 授業の考察
5時間の単元ではあるが、実質2.5時間で授業を終えた。この単元は比較的簡単なため、時数を短縮するのにもってこいの単元である。平均点を見ても、定着率も大変高い状態だった。この単元を教える際、有効だったのは理科と同じ時期に学習したことだ。理科の『一日の気温の変化』の学習で折れ線グラフを習う。こちらを先に教えてから、算数に入ったため、スムーズに学習を進めることができた。この学習は同時期に教えることで、定着率が高まるのみならず、授業の進度も早めることができる。
この単元では、全単元でおこなった定規を使わせる丁寧さが大いにいきていた。定規を使うことが苦手だった子も折れ線グラフの線をしっかり点と点をつなげて引くことができていた。折れ線グラフの時に定規の使い方を教えるのではなく、それ以前にしっかり定規の使い方を教えておくべきだと感じた。また、目盛りの読み間違いをしてしまう子が数名クラスにもいた。読み間違う原因を見ていたところ、自分の指が大きすぎるため、「1、2、3・・・」と数えているうちに1目盛り分飛ばしてしまうことがあった。そこで、鉛筆の先で数える方法を教えた。わずかなことだが、これだと目盛りを飛ばすことなく、数えることができていた。
【参考文献】 算数授業の新法則4年生編