◆啓林館『角の大きさ』

 

1 つまずきポイント

    中心や0°の線からずれる。

    逆から読む。

    180°以上の角度を測る時に、補助線を引かない。

    三角形の角度を重ねる問題に対応できない。

 

2 攻略ポイント

 

    見やすい分度器と補助作業

4年生の子どもたちの中には不器用な子がいます。その子たちがまず苦しむことが中心や0°の線に分度器を合わせることです。そのために大切なことは、道具です。分度器の中にはイラストが入っていたり、色がついていたりするものがあります。それらを絶対に使用してはいけません。そのために学級通信などでもお願いをします。それでも持ってくる子がいる場合は貸し出します。これで、第一関門突破です。

次に、やるのが補助作業です。角度を測る際、中心の点からずれたり、0°の線からずれたりする子がいます。そのため、中心の点と0°の線に赤鉛筆で印をつけます。山口県の林先生は、次のようなフレーズで教えているそうです。

・頂点にグリグリ」(頂点に赤鉛筆で赤丸をつける)

・「スタートライン」(1つの辺に赤線をひく)

 このような作業を取り入れることで、わずかですが子どもたちが、角度を測りやすくなります。

 

    合言葉は0°からスタート

角度の問題で間違えが多いのは、本当は60°なのに120°と答えてしまう子です。これは目盛りを逆方向から読んでいるからです。これを防ぐのは、合言葉で

0°からスタート

ということです。これだけで、かなり逆から読む子が減ります。授業の合間にも「角度を測る時は?」と繰り返し聞き、「0°からスタート!」と反射的に返って来るくらいやるといいです。

 

    補助線を引く習慣を付ける。

180°以上の角を測る問題がこの単元の最難関です。これを攻略する方法は、180°のところで補助線を引くことです。おそらく多くの先生がこれを教えているのですが、子どもたちは面倒くさくなり、補助線を書かなかったりします。結果的に、角度がずれる原因になります。確実に補助線を書くことを繰り返しノートチェックをしながら指導していくことが大切です。授業中、補助線が引いていない場合はやり直しをさせるように、繰り返し伝えます。また、180°+□と360°―□°の2つのやり方が教科書には掲載されています。どちらも教えた方が良いですが、180°+□の方が苦手な子には分かりやすいことが多いです。

 

    組み合わせるは足し算、重ねるは引き算

以外に子どもたちができないのが、三角定規の角度を使っての足し算や引き算の問題です。子どもたちがつまずく要因は、2つあります。角度が覚えられないことと、足し算をするのか引き算をするのかが分からないことです。角度が覚えられないことは、授業開始時にフラッシュカードのように、

教師「30°」子(30°)

  「60°」 (60°)

  「90°」 (90°)

のように毎日繰り返すことである程度身に付きます。角度の足し算、引き算は、これまた合言葉を使います。『組み合わせる問題は足し算』『重ねる問題は引き算』これを繰り返し言わせます。

教師「組み合わせは?」子(足し算)

  「重ねるは?」   (引き算)

 

3  授業の考察

 

 授業をやってみて、手先の不器用さがあるお子さんと得意なお子さんとの差が生まれやすい単元だと思いました。得意な子たちに教科書などの発展問題をさせながら、いかに苦手な子たちに個別で一緒に作業のやり方を教えてあげる時間を確保できるかもポイントだと感じました。また、啓林館の場合、4月の単元です。そのため、最初のテストでは成功体験を味合わせたいと考え、復習の時間をいつもより1時間多くとりました。その代わり、単元全体では時数を越えないように、テンポよく授業をすすめるようにしました。特に、啓林館の最初のページには折り紙を使って、扇のようなものを作る時間があります。この作業は大変有効ですが、これを作るだけで1時間かかる場合が多いです。そのため、私は、教師用に1つ作り、それを見せながら、角度の概念を教えました。これでも十分だったと思っています。

 最後の練習問題のページには説明させる問題が出てくるのが啓林館の特徴です。この説明させる問題は学力テストのB問題につながるためとても重要です。しかし、この4月の単元で全員にそれを求めるのは難しいと感じました。そのため、もし次回やるのであれば、教師の模範解答を写す作業のみで終わり、少し時期をずらして、説明する問題を扱う時間を取っても良いのかと考えています。

 

 

 

【参考文献】 算数授業の新法則4年生編、山口県の林先生SNSダイアリー