1 つまずきポイント

    線対称や点対称の用語が身に付かない。

    対応する点や対応する線がイメージできない。

    線対称の書き方が分からない。

    点対称の書き方が分からない。

    対称の軸が探せない。

2 攻略ポイント

    授業の開始時に繰り返し聞く。

    フラッシュサイトと具体物を用意し、空間のイメージを持たせ続ける。

    線対称の書き方の手順を明確にし、やり方を限定する。

    点対称の書き方手順を明確にし、番号をふる。

    対称の軸は図形の頂点だけでなく、辺にもあることをおさえる。

 

    線対称や点対称の用語が身に付かない。

線対称・点対称で出てくる主な用語は次である。

『線対称、対称の軸、対応する2つの点を結ぶ直線は対称の軸に垂直、対応する2つの点までの長さは等しい、点対称、対称の中心、対応する2つの点を結ぶ直線は対象の中心を通る、対応する2つの点までの長さは等しい』

 これらのことを一度ではなかなか覚えられない。そこで、授業の導入で繰り返し聞いていくと良い。

例えば、

「このように、半分に折るとぴったり重なる図形を何といいましたか?」

(線対称)

「線対称ってどんな形?」

(半分に折るとぴったり重なる図形を何といいましたか?)

「線対称の真ん中の線を何といいますか?」

(対称の軸)

「対応する2つの点を結ぶ直線は対象の軸にどうなりますか?」

(垂直)

 

このような問答を、授業開始1分程度やる。これを繰り返していくだけで、用語はかなり定着していく。さらには、ペアで問答ゲームを取り入れる。お互いに教師がやったように問答させると、ゲーム感覚で用語が定着される。大切なのは、用語と用語の意味を逆からも聞いてあげることだ。線対称と答えるだけでなく、「線対称はどんな形?」と聞くことで、用語の定着度は高まり、説明力も高まる。

 

 

    フラッシュサイトと具体物を用意し、空間のイメージを持たせ続ける。

 図形の単元では、必ずクラスに一人や二人、空間認知が弱く図形のイメージが持てない子がいる。そのような子にとって、頭の中で図形をイメージしろというのは、無理な話である。そこで、繰り返し図形のイメージを持たせる手立てを打っていく必要がある。

 1つ目は効果的なフラッシュサイトの活用だ。TOSSランドの福原正教氏の『線対称な図形・点対称な図形』のフラッシュサイトはおすすめである。線対称であれば、対称の軸で半分に折ると、点同士が重なる様子がイメージしやすいサイトである。このサイトには、線対称・点対称どちらも書き方についても、フラッシュサイトがあるため、活用ができる。

 2つ目は、操作活動ができる紙を用意する。線対称な図形、点対称な図形、どちらも多くの場合、教科書の図形が切り取れるようになっている。それらを効果的に活用して、図形の特徴を理解させたい。その際、対応する点を見つける際などは、図形に直接アルファベットを書き込ませると、重なる点が見つけやすい。教師も拡大した図を用意して一緒に作業をしていくと良いだろう。おそらく多くの先生方は、ここまではやっていると思う。ここからもう一歩の詰めとして、練習問題を解く際にも、そのような図を用意してあげることである。例えば、啓林館の教科書p13の③ではEに似た図形が出てくる。そして、この図形の対応する点や対応する直線を書かせることが問題となっている。これを解かせる際にも、教科書の図だけでなく、手元で操作できるようにコピーしたものを配布する。しかも、全員にである。本当は全員に配布する必要はない。しかし、誰でも使って良いという状態になっていれば、苦手な子も遠慮なく使うことができ、できないことが目立つことがない。

 空間のイメージがつきにくい児童は、図形のイメージが持てるまでは、手元で操作できるものを用意し続けてあげることは、効果的な支援である。

 

    線対称の書き方の手順を明確にし、やり方を限定する。

線対称を書かせる際、得意な子たちは感覚的に、対称の軸の反対側に次々と点を打っていくことができる。しかし、つまずく子たちは、その感覚的な部分ができない。そこで、書き方の手順を教師から明確に示してあげる必要がある。さらに、やり方が自由であればあるほど、支援を要する子はどのやり方でやっていいか分からなくなる。そのため、やり方も基本的に限定していく必要がある。

 線対称の書き方は次のようにすると良い。

1 分かっている頂点に点を打ち、番号を書く。(1、2・・・)

2 頂点から対称の軸までの長さを測る。

3 対称の軸から、等しい長さの所に点を打ち、番号を書かせる。(①、②・・・)

4 頂点を番号の順番で結ぶ。

 また、長さを測る際に、これをコンパスでやる方法もある。私の場合は、これらの方法は定規で長さを測る方法を教えてから行った。理由としては、どちらも一度に教えると、混乱する子が出てくると考えたからだ。その後、定規でもコンパスでもどちらでも良いことは伝えたが、コンパスの操作が苦手な子に関しては、定規にした方が良いことを伝え、手順を限定させるようにした。対応する点に番号をふることは、線対称の際にはなくてもできる。しかし、点対称ではこの番号を書かせることが効果的になっていく。そのため、点対称の作図に向けて、同じパーツを入れた方が上手くいくと思われる。

 

 この作図を教えた際、2番目のパーツを最初、教えずにすぐに等しい長さを探させるようにした。しかし、作図をさせようとすると、どこに点を打って良いか迷う子が何名かいた。そこで、2番目の対称の中心を通る直線を引くというパーツを取り入れることにした。結果的に、次の等しい長さの所に点を打つ活動がスムーズに流れるようになった。

 また、この作図の最重要ポイントは、番号を打たせることだ。この番号を打たせることで、頂点の結び間違いが格段に減る。これをやらないと、点は打てても結ぶところで間違える子が続出する。得意な子も苦手な子も、この勉強が終わるまでは、手間でも番号をふるように指導をしていくと良い。一度ではすぐに書けるようにはならないので、繰り返しなるべく多くの問題に触れられるように、時間を確保してあげると良い。

 

 

⑤ 対称の軸は図形の頂点だけでなく、辺にもあることをおさえる。

 対象の軸が図形の中に何本あるか探す問題がある。比較的簡単ではあるが、見落とすことがつまずきのポイントである。見落とさないように、慎重に解かせることはもちろん、ある程度パターンでつかませる必要がある。例えば、正四角形や正六角形の場合、点ではなく辺を結んでも対称の軸を見つけることができる。対象の軸は辺でもつくることができることを確認すると良い。

 

 3 授業の考察

 空間のイメージができない子、定規やコンパスの操作が苦手な子、この2つのタイプの子がつまずくことが多かった。とりわけ、空間のイメージが持ちづらい子にとっては、苦しい部分もあったが、その都度、図をコピーしたもので確認したり、点対称であれば、教科書をひっくり返して本当に点対称か確認させたりするなどの具体物による操作活動を重視したことは良かった。また、線対称の作図の際に当初は、番号をふらせていなかったため、点対称で番号をふらない子が出てきてしまった。線対称のうちから、しっかりと番号をふる習慣を身に付けさせるべきだと感じた。

 線対称の作図、点対称の作図以外は比較的簡単な内容が多い。だからこそ、作図に時間をしっかりとかけるために、他の内容についてはテンポよく速めに教えていくと良いと思われる。

 

 テストの結果から見ると、表は比較的できていた。間違いが多かったのは作図において、書き方は身に付いていても、目盛りの読み間違いによるミスが何名かいたのがもったいなかった点である。作図経験がまだ足りなかったことが予想される。また、裏の思考についての問題の間違いが多かった。五角形や六角形における、対称の軸の本数や線対称か点対称かを見つける問題の間違いが多かった。授業での扱い方が少し雑な部分もあったので、テスト前で理解できているか個別でもっと確認する必要があった。また、既習である平行四辺形やひし形といった用語の理解が不十分なために間違う子もおり、既習内容も分かっているものだとうと思わず、授業の中で確認していきたい。