1 つまずきポイント
① 位を間違えて読んでしまう。
② 大きな数のしくみが分からない。(あわせた数と集めた数)
③ 大きな数と小さな数の作り方が分からない。
④ 10倍や100倍した時の数が分からない。
⑤ 大きな数のかけ算で計算間違えをする。
2 攻略ポイント
① 位を4つずつに区切る。
1億をこえる数の学習において、最大の攻略ポイントは、この位を4つに区切るという作業だ。子どもたちは数が大きくなることで、位を読み間違える。そこで、次の図のように位の部屋を書かせ、区切っていく。区切った線のことを次のようなゴロで教えると覚えやすい。
「くぎってマン(万)」
「くぎってオク(億)」
「くぎってチョウダイ(兆)」
大きな数を読む際に必ずこの作業をノートに書かせて、繰り返し唱えさせることで、位の読み間違いが減少する。
① 位の表を書き考える。
読み方が分かったからと言って、すぐに大きな数の仕組みが理解できるわけではない。
特に苦手な子たちがつまずくのが、次のような問題だ。
「2億5000万はどんな数ですか。」
ア 1億を□こ イ 1000万を□こ
1000万を□こ 集めた数
あわせた数
これらの問題を頭で解こうとするとつまずく子が続出する。そこで、まずは2億5000万を位の表に表すことにする。
これだけで、考えやすくなる。
アの問題を右の位の表を見ながらであれば、
「1億を何こですか?」
(2こです。)
「1000万を何こですか?」
(5こです。)
と簡単に答えることができるだろう。児童の実態によっては、指で隠して情報を限定してあげても良い。
イの問題も同様に
「1000万が何こですか?」(指で隠してあげても良い。)
(25こです。)
と答えられる。
頭で考えるのではなく、必ず位の表を書く癖をつければ、落ち着いて考えることができる。
これらの問題と逆のパターンである「1億を5こ、100万を3こあわせた数は?」といった問題についても位の表を書いてから解けば、簡単に解ける。
① 難問のように扱うか、簡単な数字から挑戦させる。
次のような問題
「0~9までの10この数字を全て使って、13けたの数をつくりましょう。また、一番大きい数をつくりましょう。」
このような問題の扱い方は2つあると考えている。難問のように、解けたらもってこさせ、次々と×をつけていく。簡単には正解が出ないので、これは盛り上がる。
しかし、学級の実態によっては、丁寧に扱いたい人もいると思われる。
丁寧に確実に理解させるのであれば、簡単な数字で取り組む方法がある。
・「1と2を使ってできる大きな数、小さな数は何か?」(大きな数21、小さな数12)
・「1と2と3を使ってできる大きな数、小さな数は何か?」
・「1と2と3と4を使ってできる大きな数、小さな数は何か?」
・
・
・
・「0~9までを使ってできる大きな数、小さな数は何か?」
このようにステップを踏んで、取り組ませることで、全員ができるようになっていく。また、考え方が身に付いた上で、
「0~9までの数字を使ってできる13ケタの2番目に大きな数と小さな数は?」
といった更なる難問に挑戦させても、熱中する。
① 頭で解くのではなく、ノートに位の部屋を書かせる。
「200万を10倍、100倍した数を書きましょう。また、10や100でわった数をかきましょう。」
このタイプの問題でつまずくのが、位が変わる部分だ。200万が10倍すると2000万になることはすぐに子どもは理解できる。しかし、200万を100倍すると、2億になることがすぐには理解できない子がいる。
そこで、大切になるのが、10倍100倍の図を書かせることだ。
右のような図をノートに書かせていく。
「200万を10倍したらいくつですか?」
(2000万)
「じゃあ、100倍したら、2万万?」
(違う!2億!)
「そうだね。2万万はないので、位が上がります。2億」
といったように、わざと教師が間違えながら、位が上がることを意識させる。
この図を書かせる際、大切なことは位をたてにそろえて書くようにすることである。これがずれると、答えもずれていく。
② 補助計算と階段を書かせて攻略。
大きな数のかけ算においてつまずく児童の特徴は2種類ある。(1)2ケタ×2ケタが身に付いていない。(2)単純なかけ算や足し算のミス これらを合わせて解決する方法は、もう一度丁寧に補助計算を書かせて解かせることだ。
右のように補助計算をしっかりと書かせて解かせる。さらに、写し間違いを防ぐために、階段を書かせることを徹底することでミスを減らすことができる。楽な方法でやらせようとすればするほど、苦手な子がつまずくことにつながるため、無理せず丁寧に教えることが攻略の鍵である。
3 授業の考察
この学習は大きな差が生まれやすいと感じた。位の部屋が頭の中にイメージできている子はとても簡単に問題が解けるが、イメージできない子は問題を解くのにも苦労をしている様子が見られた。だからこそ、位の部屋を書かせることを徹底させる必要がある。教科書の問題をノートに解かせた際、ノートチェックを小まめにすることだけでなく、計算スキルを解く際も同じようにやっているか確認する必要がある。また、テストの時に省略する子がいるため、事前に声をかける必要もある。そのような、声かけと確認を繰り返すことでミスが減っていく。
【参考文献】 算数授業の新法則4年生編、山口県の河田先生学級通信